コラム
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今すぐ無料相談「大丈夫だったはず」が最も危険。事故後に取るべき行動と、届け出の重要性を実体験から解説します。

長く勤めた工場勤務から転職し、
タクシードライバーになって 3日目のこと。
まだ右も左も分からず、慣れない業務に汗をかきながら乗務をこなしていた。
お客様を送り届け、次はどこへ向かおうか――そう考えていた、その時だった。
とっさにブレーキを踏む。
間に合わなかった。
速度は落ちていた。
それでも接触は避けられなかった。
倒れていく女の子の姿がまるでスローモーションのように感じた。
頭の中は、真っ白に。
「事故を起こしてしまった……」
少し先に車を停め、慌てて駆け寄ろうとした。
だが、その声が届く間もなく、女の子は自転車を起こし、
再び路地の奥へ走り去ってしまった。
何度も呼びかけた。
しかし、その小さな背中はみるみる遠ざかり、やがて見えなくなった。
頭の中を、さまざまな思いが激しく駆け巡った。
エンジンを切り、車を停めたまま路地の先まで探した。
だが、見つからない。
10 分ほど探しただろうか。
重い足取りで車に戻った。
そう思いたかった。
いや、そう思い込もうとしていた。
車を発進させた。
仕事のことを考えようとする。
しかし、まったく集中できない。
女の子の姿が、脳裏から離れなかった。
どうしていいか分からなくなった、その時ーー。
出庫前に掛けられた言葉を思い出した。
会社へ電話を入れた。
「飛び出してきた自転車の女の子と接触しました。そのまま走り去ってしまい、見失ってしまいました」
返ってきた指示は、簡潔だった。
場所を伝えると、こう続いた。
その言葉を聞いた瞬間、不思議なほど、気持ちが落ち着いた。
交番に着いた。
「どうしましたか?」
警察官の問いかけに、事故の状況を説明した。
しばらくして、別の警察官が親子を連れて入ってきた。
見ると、それはあの女の子だった。
家に帰った女の子の膝に擦り傷があることに母親が気づき、事情を聞いて交番へ来たのだという。
警察官が母親にこう伝えてくれた。
会社に改めて連絡、事故対応が進んでいった。
幸い、怪我は擦り傷程度で済んだ。
翌日、部長とともにお見舞いへ伺った。
母親は言った。
「ご丁寧にありがとうございます。
幸い大した怪我にはなりませんでした。
飛び出してはいけないと、よく言い聞かせました」
女の子は照れくさそうに、母親の後ろに隠れていた。
その帰り道、部長が静かに口を開いた。
そして部長は、自身が経験した“事故と届出”について語り始めた。
(次回へ続く)
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