コラム
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~ 苦情 ~
警察本部の「苦情」担当課長であったとき、各警察署長に向けてメールを発信しました。
~ 警察署長当時、「苦情」として報告・決裁が上がってくると眉間に皺を寄せていました。
苦情の多くは警察官のわずかな不手際に対する執拗な指摘が多く、
それでも苦情の事実関係について調査し、詳細な調査結果報告書を作成して警察本部に送ります。
警察本部では、関係部長まで合議を得て、すべての苦情とその調査結果は警察本部長まで報告されています。
そのために費やされる労力は大きく、いかにも不合理であるように思えたからです。
しかし、警察本部、各警察署に寄せられるすべての苦情と調査結果報告書を読み、考えるうちに、
少しずつ自分の考えが変化していきました。
つまり、時間と手間をかけて苦情の背景事情を調査し、確認することとは、
その申出者のためだけに行っているのではなく、
むしろ、それ以外の人たちのために行っているのではないか と考えるようになったのです。
苦情になった警察官の不適切な言動とは、その申出人だけではなく、
それ以外の人たちにも同じように繰り返されていたはずです。
しかし多くの県民は、不満に思った気持ちを声に出すことなく我慢して黙っています。
つまり、そこには多くの「聞こえてこない苦情」が存在していたはずであり、
「聞こえてきた苦情」を処理するだけでは解決されない課題がそこにあるということです。
県民の多くが不満を抱いているのであれば、それが聞こえてこないから存在しないのではなく、
自らその存在を認め、いかに応えていくかが警察組織にとって重要な課題であるはずです。
そして、こうした「聞こえてこない苦情」に応えるためには、
何よりも「聞こえてきた苦情」について調査し、
不適切な言動についてその本質を見極め、共有していくことが必要だと考えました。
「聞こえてきた苦情」について適切に対応することとは、
不満を感じても我慢して口を閉ざす多くの県民の思いに応えることにほかならないということです。
そして何よりも大事なことは、苦情の要因が関係警察職員の個人的な問題であるとは限らず、
実は組織全体の問題であり、課題であることが少なくないということでした。
「苦情」を受理することは、喜ばしいことではありませんし、事務負担も生じます。
しかし、「苦情」を適切に受理し、対応していくこととは、
「県民の期待する警察組織・警察活動」を実現していくために欠かすことのできない、
私たちの大切な仕事なのだと、今、私は考えています。〜
ゼロを目指しても発生する交通事故に対して、ついドライバーを叱り、反省を促すことを優先してしまいます。
しかし、そこにドライバー個人の問題だけではなく、
組織的な要因がなかったかを確認する必要があるということです。
組織的な背景・要因があったとすれば、それを改めない限り、
安全運転管理、事故防止活動は、ドライバーだけに負担を強いるものとなり、
将来的な効果を期待することはできません。
安全運転、その管理とは、ドライバーの個人的な課題ではなく、会社組織全体の課題だからです。
交通事故を防ぐことの大切さを共有できる職場、
皆が前向きに交通事故防止・安全運転に取り組める職場環境を作り上げていくこと、
この困難な課題と向き合うことこそ管理者の重要な役割なのだと、私は考えているのです。
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