コラム
交通安全に関する知識やノウハウを分かりやすく解説
交通安全の教育・研修をお考えですか?
サービスについて問い合わせるドライブレコーダーは事故原因の解明に不可欠です。主観と客観の違いから安全運転と再発防止の重要性を解説します

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
先日、警察庁が各都道府県警察の交通部に宛てて、ある文書を事務連絡として出しました。
それが、
でした。
文書には、
・容疑者の供述だけに頼らず、客観証拠を精査すること
・映像に音声がない場合、設定上のものか再生ソフトによるものかを確認すること
・携帯電話使用中の事故が増えているため、通信履歴も確実に確認すること
などの内容が含まれていました。
通達が出された背景には、1件の交通事故があります。
2019年1月、千葉県内で横断歩道上の歩行者が乗用車にはねられて死亡する事故が発生しました。
この事故では、ドライブレコーダーの映像も証拠として提出されていました。
乗用車の運転者は、
「遠方の交差点の信号を見ていた」と供述し、
自動車運転処罰法違反(過失致死)の疑いで書類送検され、
2021年6月、禁錮2年、執行猶予4年の有罪判決が下されました。
ところが、刑事裁判の判決確定後、
遺族が民事裁判のために証拠の開示を請求した後、
新たな事実が判明したのです。
事故時のドラレコ映像を再生したところ、
運転者が、同乗者のいない車内で誰かと会話をしているような音声
が聞こえてきたそうです。
つまり、
があったということです。
刑事裁判の際にも、当然ドラレコ映像は再生されていました。
しかし千葉県警は、
再生ソフトの互換性の問題で音声データの存在に気づかないまま、捜査を進めてしまった
ということでした。
そのため、
「ながらスマホ」の有無については捜査が尽くされなかったのです。
私は20年以上、事故防止の現場でドラレコ映像を見続けてきました。
その中で痛感するのは、
運転者の主観とドラレコの客観は、まったく別の世界にある
ということです。
今回の「ながらスマホ」のような事案だけでなく、
事故の状況も、
運転者の主観とドラレコの客観では全く違う状況が見えることが多々あります。
例えば、
運転者が「止まった」「避けた」と感じていても、
映像ではブレーキが遅れていたり、ハンドル操作が足りていなかったりします。
また、
「飛び出して来た」と証言するケースでも、
実際の映像では、かなり前から視界に入る位置に歩行者や自転車がいることもあります。
主観は“心の記録”
ドラレコは“事実の記録”です。
どちらか一方では、真実は見えてきません。
だからこそ、
私たちはその映像を教育に使っています。
映像は責めるためではなく、学ぶために使うべきものです。
客観的な記録を冷静に分析し、主観と照らし合わせることが、
再発防止の第一歩です。
このコラムを読んでいるみなさんも、
もし日常の運転の中でヒヤリハットの場面があったら、
ぜひ帰宅してからその映像を見直してみてください。
おそらく、
その場で感じた衝撃や感覚とは少し違った印象を受けるのではないかと思います。
また、その映像を見直すことで、自分の運転行動を振り返ることもできます。
事故防止のためにこそ、ドラレコ映像を活用してください。