コラム
交通安全に関する知識やノウハウを分かりやすく解説
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今すぐ無料相談交通事故防止に犠牲は必要ありません。安全管理の本質は、事故件数の数字ではなく、守られた命という見えない価値を組織全体で共有することにあります。

~ 犠牲 ~
若き頃、私にはとてもできないと考えていた。
そして、人の命を守るだけの仕事、警察官という仕事を選んだ。
やがて、災害対策課長になったとき、改めて考えた。
大規模災害が発生したとき、災害対策として優先すべきは被災者の救出であるが、
現場はそれぞれであり、その現場に応じた判断と行動が求められる。
例えば、目の前の瓦礫の下に1人が埋もれている。
少し先の現場では、3人が埋もれている。
今、救出活動を行えば1人を助けることができる。
しかし、その結果、
向こうの3人の命を助けることはできない場合、どのような判断・行動が正しいのか。
現実的には、3人の救出も確実ではなく、可能性に過ぎないことが多い。
様々な結果を考えることができる。
1人を救出したが、3人の救出はできなかった場合。
3人の救出を優先して3人を救出したが、1人の救出はできなかった場合。
そして、3人の救出を優先したが救出できず、最初の1人の救出もできなかった場合。
正しい判断とは何であろうか。
救出活動の優先順位とは、人数の比較に答を求めてよいのだろうか。
人の命とは、そのひとつがすべてである。
ならば、私に答はない。
しかし、私は覚悟を決めていた。3人の救出を優先する指揮を執る。
結果的に、誰も救出できなければ、最初の1人を犠牲にした責任を問われるのは必至である。
しかし、結果への不安を抱くのではなく、部隊を指揮する者として、
私は3人の救出を優先する指揮を執ると決めていた。
指揮官は、現場を前にして迷ってはいけない、そう考えていた。
今、改めて考えています。
交通事故を防ぐ、年間2千人を超える交通死亡事故の犠牲者を半減するために、
誰かの命を犠牲にする必要などありません。
難しいのは、
犠牲者には名前があるが、守られた命には名前がない、
それが誰なのかわからないということです。
交通事故の増減を前年比で比較することは簡単にできますが、
それが本当に交通安全対策の成果であるかどうかは証明できないということです。
こうした、見えないもの、数えられないものに価値を認めること、
それが安全運転の中身なのだと思います。
会社・事業所で安全管理を担当する皆さんの目指すべきは、
安全という見えない、数えられないものに価値を見つけ、共有していくことです。
そのために必要な犠牲などありません。
少しの時間と、運転行動を変える覚悟は必要ですが、
それは無駄な時間ではなく、安全を身に付けるために必要な大切な時間です。
交通事故件数の減少を目指すだけではなく、
交通事故が発生しない運転行動を組織の基準とすること、
これが安全管理の本質なのだと、私は考えているのです。
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