コラム
交通安全に関する知識やノウハウを分かりやすく解説
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1.皆さんの体、本当に大丈夫ですか?
不規則な勤務、長い荷待ち、食事時間のズレ。
食事も、コンビニや外食に頼らざるを得ないことがあります。
プロドライバーの皆さんの仕事は、「健康に良い生活をしましょう」と言われても、
なかなかその通りにはいかない仕事です。
だから私は、健康管理を「我慢すること」だとは考えていません。
今日も無事故で仕事を終えて、自宅に帰る。
そのために、自分の体を少しだけ上手に使う。
それがプロドライバーの健康管理だと思っています。
「今まで大丈夫だったから、これからも大丈夫」
実は、この考え方が一番怖いのです。
高血圧や脂質異常症などは、自覚症状がないまま進んでいることがあります。
だからこそ、健康診断の結果を「毎年同じだから」とそのままにしないことが大切です。
健康管理は、会社のためだけではありません。
自分の命と、家族との生活を守るための安全対策です。
2.「突然」は、突然つくられるわけではない
国土交通省の資料によると、
平成26年から令和5年までの10年間に、
疾病によって事業用自動車の運転を継続できなくなったとして報告された運転者は3,062人。
そのうち、健康起因により死亡した運転者は491人でした。
死亡した運転者の疾病別では、
心臓疾患が55%、大動脈瘤及び解離が14%、脳疾患が10%となっています。
もちろん、心臓病になったら必ず事故につながる、という話ではありません。
ここで知っておいてほしいのは、心臓や脳、大血管の病気の中には、
普段は自覚症状がないまま進んでいるものがあるということです。
「元気だから大丈夫」ではなく、
「症状がない今だからこそ、健診の数字を見る」これが大切です。
血圧、血糖、LDLコレステロール、体重など、健康診断で指摘されたことがあれば、
「忙しいから」で終わらせず、一度きちんと確認してみましょう。
健康診断は、病気を見つけるためだけのものではありません。
これからも安全に仕事を続けるために、自分の体の状態を知る機会でもあります。
3.コンビニ食は「信号機」で考えてみる
「昼ごはんを食べると眠くなる」これは、ドライバーさんから本当によく聞く話です。
ただ、食後の眠気をすべて「血糖値スパイク」のせいにすることはできません。
食事の量や内容だけでなく、睡眠不足、疲労、勤務時間など、いろいろなことが関係します。
そこで、私がおすすめしたいのが、コンビニで食事を選ぶときの「信号機チェック」です。
🟡黄色は主食。
おにぎり、パン、そば、うどんなどです。
🔴赤は主菜。
肉、魚、卵、豆腐、サラダチキンなどです。
🟢緑は副菜。
野菜、海藻、きのこなどです。
例えば、
おにぎり2個だけで済ませるのではなく、おにぎりにゆで卵と海藻サラダを組み合わせる。
おにぎりにサラダチキンと野菜スープを組み合わせる。
これだけでも、食事のバランスは大きく変わります。
食事を選ぶとき、「黄色だけになっていないかな」と一度考えてみてください。
また、野菜などに含まれる食物繊維を先に食べることは、
食後の血糖値の上昇を抑える食べ方の一つとして紹介されています。
ただし、食べる順番だけで食後の眠気がなくなるわけではありません。
まずは、主食だけで終わらせない。
ここから始めてみてください。
4.「コーヒーを飲んでいるから大丈夫」ではありません
「眠くなったらコーヒー」これは、ドライバーさんにとって身近な習慣だと思います。
もちろん、コーヒーそのものを悪者にする必要はありません。
カフェインには利尿作用がありますが、
通常の量のコーヒーまで「飲んだ分以上に水分を失う飲み物」と考えるのは正確ではありません。
一方で、暑い時期や長時間勤務、汗をたくさんかくような環境では、水分補給を意識する必要があります。
そこでおすすめしたいのが、
「コーヒーをやめる」のではなく、「コーヒー以外の水分も持っておく」ことです。
水や麦茶などを手元に置いて、のどが渇いてから一気に飲むのではなく、休憩のたびに少しずつ飲む。
特に夏場は、汗をかく量や仕事をする環境に応じて、水分や必要に応じて電解質も補給しましょう。
脱水は、注意力や認知機能などにも影響することが報告されています。
ただし、ここで一番伝えたいのは水分の話ではありません。
眠気が強いときに、コーヒーで無理に乗り切ろうとしないことです。
眠気が強いときは、安全な場所で休む。これが何より大切な安全対策です。
5.SASは「仕事を失う病気」ではなく、「早く見つけたい病気」
「いびきがひどい」
「寝ているときに呼吸が止まっていると言われる」
「昼間、どうしても眠い」
こんなことがあるのに、
「SASの検査を受けたら、乗務できなくなるんじゃないか」と心配して、検査を避けてしまう方がいます。
でも、これはおすすめできません。
国土交通省のSAS対策マニュアルでは、
SAS患者の交通事故リスクは、SASでない人に比べて約2.4倍とされています。
また、SASが疑われる居眠り運転や漫然運転による事故について、健康起因事故として報告する取り扱いも行われています。
SASは、早く見つけて適切な検査や治療につなげることが大切です。
だからこそ、「隠す」より「早く見つける」。
これを覚えておいてください。
「もしかして」と思ったら、まず相談してみる。
検査を受けることは、自分の健康を守るだけでなく、安全に仕事を続けていくための一歩にもなります。
そして、自分だけではなく、乗客や他の道路利用者を守ることにもつながります。
6.10分の「ちょい歩き」も健康管理の武器
プロドライバーに「運動してください」と言うと、
「そんな時間、どこにあるの?」と思われるかもしれません。
その通りです。
だから私は、「運動しなくては」と難しく考えなくてもいいと思っています。
荷待ちの間に少し歩く。
トイレに行ったついでに少し遠回りする。
休憩中に車から降りて、足を動かす。
長時間、同じ姿勢を続けないようにする。
できることからで十分です。
休憩中に、ふくらはぎを動かす「かかと上げ」をするのも一つの方法です。
もちろん、これだけで血栓を完全に防げるというものではありません。
大切なのは、長時間同じ姿勢を続けないことです。
そして、
片脚の腫れや痛み、突然の息苦しさ、胸の痛みなど、
いつもと違う症状があった場合には、「疲れだろう」と運転を続けないこと。
体からのサインを無視しないことも、プロとして大切な健康管理です。
7.夜遅い食事は「抜く」より「分ける」
夜遅くに仕事が終わって、そこから夕食。
お腹が空いているから、ついついご飯をたくさん食べてしまう。
そして、食べ終わってすぐ寝る。
これも、プロドライバーにはよくあるパターンです。
そんなときは、できる範囲で「分食」を考えてみましょう。
例えば、夕方の休憩でおにぎりなどの主食を食べておき、
帰宅後は魚や肉、豆腐、卵などの主菜と野菜を中心にする。
「夜は炭水化物を絶対に食べない」という厳しいルールではありません。
仕事の時間に合わせて、食事を分けて考えるということです。
空腹を夜中まで我慢して、帰宅してから一度にたくさん食べる。このパターンを少し変えてみる。
これも、プロドライバーならではの健康管理の工夫です。
8.健康管理は「我慢大会」ではありません
健康管理というと、
「痩せなさい」
「運動しなさい」
「甘いものをやめなさい」
「夜食を食べるな」
そんな話になりがちです。
でも、毎日忙しく働くプロドライバーに、完璧な生活を求めても長続きしません。
だから私は、「できることを一つ」でいいと思っています。
コンビニで、主食だけになっていないかを見る。
水や麦茶も一緒に持つ。
休憩中に少し歩く。
健診結果を放置しない。
いびきや強い眠気があれば、SASを疑ってみる。
そして、体調がおかしいと感じたら、無理にハンドルを握らない。
健康管理は、仕事を休むためのものではありません。
仕事を続けるため。
そして何より、今日も無事故で家に帰るためのものです。
ハンドルを握るあなたの体は、仕事道具ではありません。
あなた自身の命そのものです。
今日できる小さな選択が、明日の安全につながります。
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